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養豚漫遊記(肥育①)

もっけです。上野です。

季節はすっかり秋になり牧場近くの公園では少しずつ紅葉が見られるようになりました。
庄内は稲刈りも終わり、少しさみしさを感じるような風景になりました。静かでこの落ち着いた風景、嫌いではないです。

三郷原牧場では先日、新しい畜舎が完成しました。25年間豚を飼育した畜舎が古くなったためそこに新しく建てました。ちなみに以前の畜舎よりも多くの豚を育てることができます。

牧場規模は変わらないですが、多くの豚を育てられるようにしたことには理由があります。

豚枝肉取引規格の改正

格付け規格が来年2023年1月より改正されるからです。
日本食肉格付協会(日格協)は、豚枝肉取引規格の各等級(極上・上・中・並)について、重量範囲を上限下限それぞれ3kgずつ引き上げると発表しました。

豚は食肉公社というところに出荷され、そこから枝肉とよばれるお肉になります。
現在一般的には、豚の出荷体重は115kgです。お肉になる際の歩留まりが一般的に65%と言われておりますので枝肉重量で75kg程度になります。現況では、「上」の重量範囲(皮はぎ)は「65kg~80kg」です。この重量範囲に入っていれば、外観、肉質の項目で格落ちの理由がなければ「上」で取引されます。

来年1月の改正では、「上」の重量範囲(皮はぎ)が「68kg~83kg」となり、出荷体重は120kgに引き上げられます。この5㎏の引上げは、枝肉に 換算すると約3㎏の引上げに相当するからです。

今回の改定の背景には、2020年3月に農水省が策定・公表した「家畜改良増殖目標」によるところがあるようです。
アメリカでは、夏場の豚肉供給不足などを補うために体重増で出荷することは結構以前からあるようです。(米国食肉輸入連合会Trader’s Be & Po vol.225 2014.5発行「豚肉は生体重増で供給好転も夏場の高値必至」の記事より参照)

つまり、出荷体重が大きければその分肉量も増えてくるということです。1頭からより多くの豚肉が取れることは効率的です。そして、出荷体重を増やすということはその分だけ長く飼育する必要があるということになります。以前、記載したこともありますが、三郷原牧場はウィークリーという作業システムを採用していますので、毎週分娩があり、毎週離乳があります。出荷は月曜日から金曜日まであり、その間に、出荷により空いた部屋(豚房)を洗浄・消毒し、その場所に次の世代の豚を移動して飼育します。長く飼育する必要があるということは、その分飼育する部屋(豚房)が必要になるということです。今回の畜舎建設はその格付け規格改正にも対応したものになります。

ところで、出荷体重が115kgや120kgなどと書きましたが、実は豚は1.3kg程度で生まれてきます。それが、約半年(180日)前後でその出荷体重まで成長します。お母さん豚と離れる時(離乳)は25日齢前後でだいたい6~8kgくらいまで成長します。大きくなれば、1日に食べる餌の量も増え、二次関数のグラフの様に体重が増えていきます。

生まれた時はかわいいです。弱々しいので小まめな管理が必要になります。

出荷間際になると、本当に大きく気をつけなければ我々が怪我をすることもあります。

配合飼料費用の高騰が止まらない近年では、データを分析した上での作業効率化、そして小さいことでも餌などの無駄を無くす意識が必要だと思います。

ちなみに、養豚の教科書には以下のような言葉も記載されています。
「養豚場において、とかく消費者を意識して肉質や味に気を取られがちですが、消費者に渡る前に取扱い業者(バイヤー)に認められなければいけません。また、「定時・定量・定質」といった条件や、①肉締まりが良い ②ドリップロスがない ③正肉歩留まりが良い などの取り扱いやすい枝肉の条件を満たすことも必要です」

美味しい豚肉を消費者の方々にお届けし続けるために大切なことだと感じました。

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