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もっけです。上野です。
時折りイチョウや紅葉など紅や黄色く色付いた落ち着いた庄内平野を眺めがら会社への通勤をしていましたら、どんどん季節は冬になってきました。
あっという間に12月も中旬です。どんどん寒くなりますね。気温の変化は身体に負担がかかるので自身の体調管理、豚の環境管理には気をつけたいところです。
そんな中で、三郷原牧場の肥育舎は結構寒さに強い構造になっています。
本日は三郷原牧場の踏み込み式の肥育舎について記していければと思います。
私たちが豚舎を構える庄内町という地域は、日本三大悪風と呼ばれることもあるくらい強い風が吹く地域です。
岐阜県や岩手県からIターンで入社した従業員さんは、風の強さや、冬に雪が横から降ってくる現象(地吹雪)に驚いていました。
そんな中でも出羽三山の水脈から汲み上げる水と庄内平野で育った飼料米、これら自然の恵みと、厳しくも豊かな自然の中で、元気にたくましく豚は育っています。
豚は本来寒さに強い動物と言われていますが、それでもお腹が冷えれば下痢します。このブログでもお伝えしたことがありますが、三郷原牧場はオガコ踏込み式という形式を取っています。完全発酵した堆肥を床に敷いています。その上にもみ殻と木質(オガコ)を混ぜて敷いています。そこで豚を育てます。床は完全発酵した堆肥なので臭いはほとんどありません。そして床は暖かくお腹を冷やすことがありません。
豚の排泄物がもみ殻やオガコと混ざり発酵します。排泄物が多くなり水分量が多くなってくると、もみ殻やオガコを追加し水分量を調節します。床材として使っている堆肥の臭いがほとんどないため、作業着に臭いが付くことがありません。これは嗅覚の優れた豚にもストレスフリーになっているようです。豚舎の天井が高めなので、吹雪の日でもカーテンを開けすぎず管理することができます。これで風が直接豚にあたることを防げます。
ところで、豚は綺麗好きだと聞いたことありますでしょうか?日々の管理で見ていると気付きますが、トイレの場所が決まっています。また寝るところも決まっています。豚の体調が良い時は、薄ピンクの肌で毛並みも綺麗で、見ていて分かりますし管理もしやすいです。逆に、体調を崩している時はトイレの場所もバラバラで、毛並みもボサボサになります。餌も十分に食べていないのかお腹が痩せていたりします。日中と夜で寒暖差が起きる日、季節の変わり目などに崩しやすいのでまさに今の時期は注意が必要ですし、そのような状況を見つけた場合は早急に対応が必要です。
出荷しきった部屋では堆肥を取り出し本格的に堆肥化します。水分を調整し、三角形状に積み上げることで温度を高くし、発酵しやすい状況を作ります。温度を高くすることで、病原菌や寄生虫、雑草の種子などが死滅し、衛生的な堆肥ができるといいます。しかし、温度が高くなる部分は表面の部分だけなので、定期的な切り返し(攪拌作業)が必要になります。これを温度が落ち着くまで繰り返し、次の豚を受け入れる床材となります。
この工程の中で出てくる堆肥はすべて床材として使うわけではなく、サンボクユーキという有機堆肥の商品として販売しております。家庭菜園などで使っていただけるよう袋詰めしたものも売っていますが、取り扱っているお店では、なんと店内に置いていただいております。嬉しいですし、買ってくださったお客様も良さそうだということで我々としては自信になります。
この飼育環境は豚を効率的に育てるという面では、出荷日齢がかさむという面では決して効率的なシステムではないかもしれません。しかし、育てている私の目からは広い飼育面積、ほのかに土の香りがする完熟の堆肥、思い思いのところで寝れるなど、ストレスが軽減される環境にみえます。冬の寒さが厳しいこの地では結構適した豚舎ではないかと見ています。